「死後事務委任契約」という言葉を、はじめて聞く方も多いかもしれません。これは、亡くなった後に必要となるさまざまな手続きを、生前のうちに信頼できる人や専門家へ依頼しておく契約のことです。
たとえば、葬儀や火葬、納骨、埋葬に関すること。役所への届出、病院や施設の精算、住まいの明け渡し、公共料金や携帯電話などの解約、親しい方への連絡なども、内容に応じて契約に盛り込むことができます。
これまでは、こうした手続きは家族や親族が行うことが一般的でした。しかし、単身世帯の増加、子どものいないご夫婦、親族が遠方にいる方、家族に負担をかけたくない方などにとっては、「もしもの後を誰に託すか」は大切なテーマになっています。
葬儀費用を残しておくだけでは、実際にそのお金を誰が使えるのか、どのような葬儀を望んでいたのかが分からず、周囲が困ってしまうこともあります。だからこそ、費用の準備とあわせて、「何を、誰に、どのようにお願いするのか」を書面で明確にしておくことが大切です。
死後事務委任契約は、人生の終わりを急ぐためのものではありません。自分の想いを整理し、残された人が迷わず動けるようにするための、やさしい準備です。判断力がしっかりしているうちに、信頼できる専門家や相談先と一緒に考えておくと安心です。
【対象となりやすい方の例】
・おひとりさま
・子どものいないご夫婦
・親族が高齢、遠方、または疎遠な方
・内縁関係、同性パートナーがいる方
・自営業など、亡くなった後の整理が必要な方
・家族にできるだけ負担をかけたくない方